日本人はうなぎが大好きです。
小職もご多分に漏れず、福岡や筑後地方のうなぎの店にちょいちょいと足を運びます。
先日、東京へ行った際に、テレビでよく紹介されています名店「竹葉亭本店」で食事をする機会を得ました。江戸末期から続く本店は、さすがに格式が感じられます。建物や中庭は長い歴史が育んだ風情があり、玄関口では麻の和服をお召しになった女将さんが、快く迎えてくださいました。部屋に入ると和風モダンな畳の上にテーブル、一見違和感がありますが、格式が高そうな日本料理店では時々見掛けます。お店の雰囲気が良いと、味も期待を裏切りません。うなぎは東京風で柔らかく甘めの味付け、美味しく頂く事が出来ました。
これまでは、東京・麻布にあります「野田岩」というお店には時々行っておりました。このお店もうなぎの名店として知られ、多くのお客様からご贔屓にされています。
東京のかば焼きの特長は、背開きで焼く前に一度蒸しますので、両名店共にうなぎはとても柔らかく、口に含むと身が溶けてしまいます。関西や各地のかば焼きには食感に違いがありますので、それぞれ好みが分かれると思います。
福岡県の柳川筑後周辺には、うなぎとご飯を甘めのタレで蒸した、うなぎの「せいろ蒸し」という名物料理があります。しっかりとご飯にうなぎの味とタレがしみ込み、「せいろ」の中はうなぎの香りでいっぱいになります。お決まりのように、柳川の有名店に行っておりましたが、最近知人からの紹介で、隣町の城島町にあります「富松うなぎ本店」で「せいろ蒸し」を頂きました。うなぎの味付け、ご飯への味のしみ込み方、ごはんとうなぎの量、お値段を考えますと、福岡市から遠いですが、もう一度行きたいと思ったお店です。建物も趣きがあり、部屋の中は畳の上にテーブルで竹葉亭と同じでした。
福岡市の繁華街、中洲に「吉塚うなぎ」という全国的に有名な店があります。一度食されたほとんどのお客様が、また行きたいとリピーターになるぐらい、美味しいうなぎの名店です。このお店の席も、畳の上にテーブル、いつも地元のお客様や出張の会社員、観光客で繁盛しています。
東京でもない、柳川でもない、他のお店でもないカラッと香ばしく焼き上げたうなぎのかば焼きは正に絶品。上段がうなぎ、下段がご飯という、二段の赤茶の長方形の漆器で出てきます。
そのままでも良し、山椒や七味をかけても良し、タレに付けても良し、付いてくるご飯も炊き立てのような美味しさです。
最近、アジアの人々もうなぎの美味しさを知り始め、アジアのお客様が頻繁にうなぎの名店を訪れているようです。昼時の福岡の吉塚うなぎは外国の観光客でいっぱいですし、東京の竹葉亭では、隣席のお客様が外国の方でした。
日本人が愛するうなぎの食文化を、大事にしていきたいなと思う次第です。