福岡音楽学院創立60周年記念演奏会

福岡音楽学院創立60周年記念演奏会

故末永博子先生が開校された福岡音楽学院が創立60周年を迎え、記念演奏会と祝賀会が平成29年11月11日に末永文化センターで執り行われました。ピアニストで院長の藤村祐子氏、ピアニストで大阪音楽大学教授の岡原慎也氏、ピアニストで東京芸術大学准教授の青柳晋氏が、ソロと連弾、最後に3台のピアノのための協奏曲を演奏されました。

末永博子先生がお亡くなりになった時に、この音楽院についてブログに書き記しましたので今回は割愛いたしますが、多くの優秀な卒業生が国内外で活躍しており、福岡市の音楽界は福岡音楽学院の存在を無くして語ることは出来ません。会場は多くの卒業生で溢れ、さながら同窓会の様相でした。
今回は60年前の開校式で末永博子先生が綴られた福岡音楽学院の設立趣意書を掲載させて頂きます。
 
 
「開校にあたって」私たちの立場 1957年7月1日
 
「こどものための音楽教室」の運営につきまして私たちはこう考えている次第です。
今迄私共のまわりの音楽教室には二つの大きな欠点がありました。
教育を受け始めるのが遅すぎる。
音楽上の知識を習う事が軽視されるか、さもなくば抽象的にだけ行われた。
音楽の教育は幼い時から始める程、楽に確実に高い所迄進歩出来るという事は、古今の名音楽家といわれる人が殆んど例外なくそうした経歴を踏んで来た事を見ても明らかな事実です。しかしただ早く始めたというだけでは足りません。
音楽では文学などに比べて技術的な要素が非常に重要な役割を持つと同時に、知的な面の勉強もあくまで耳の感覚を通して得られた具体的な身についたものでなければなりません。所が九州では今まで子供に音楽を教えるための綜合的な施設がなかったため、音楽を学ぶものがとかく晩学のかたむきがありましたし、特に楽典その他の理論や音楽史などの知識は中央の音楽学校に入ってから、それも本から頭につめこむだけという有様でした。
これでは、たとえ楽器を機械的に弾きまくる人は出来ても、高い音楽的思考力を持った音楽家の出現は期待できないわけです。
そこで私達は次の点に力点をおいて音楽教育を行おうと思います。
なるべく小さい時から教育を始める。
聴音教育を行って正しい音感(旋律やハーモニーやリズムを正確にききわけつかみ取る力と音楽、つまり本当に音楽的な音とは何かについての感性)を育てる。
以上と並行して順を追って理論や知識を組織的に教える。
演奏の様々のスタイルを区別し各生徒が自分に本当にぴったりしたスタイルで音楽する力をつける。
個人演奏だけでなく合唱合奏の訓練をする。
私たちはこの外にも附属教室を設け音楽を学習しようとする人々のために更に多角的な教育を行っています。専門的音楽教室の立場からばかりでなく、ひろく九州の文化の前進に深い関心をもっていらっしゃる方々の力強い御協力と御支援とを心からお願い致します。