20年前のボストングランドピアノGP-193と、それより前のモデルのK社グランドピアノをお持ちのお客様が、このたび、K社のグランドピアノを下取りに出され、新しくボストングランドピアノGP-193 PEを購入されました。20年前といえばボストンが新しいブランドとして世に出たばかりで、さらに、大きさが193㎝の高額なピアノということもあり、当時販売された数少ない貴重な1台だと思われます。その頃は、発売されてあまり時間が経っておらず、社会的な評価はまだまだ未知数の時でしたが、お客様はご家族で訪れた楽器店でそのボストンピアノをお気に召され、その場で購入されたとお聞きしました。当時、音大を目指す学生だった今回のお客様は、国産のピアノが持ち合わせていない、ボストンピアノのヨーロッパ的な優しい音色がお好きだったようです。それから20年が過ぎ、古くなったK社のピアノに代わり、同機種の新型と旧型の2台が、レッスン室に並ぶことになりました。
新しいピアノに対するお客様の感想は、「ボストン特有の優しい音色を持ちながら、より音色やタッチ感が明快になっている。」
Y社ほどきらびやかではなく、K社ほどおとなしくはない、温かみのある音楽的な響きがボストンの特色で、まさにそれがメーカーの目指したピアノ作りであると言えます。現在ではボディーパーツは金色の金具に、シングルキャスターはダブルとなり、そして素敵なロゴで装飾されていて、全体として高級感が以前よりも増しています。
他のブランドに比べて、まだまだ歴史が浅いボストンですが、着実にファンが増え、「ボストン」というブランドが社会的に定着しつつあります。もし、ブランドにとらわれず、音色やタッチ感を好きか嫌いかで判断されれば、ボストンピアノはきっと皆様の素晴らしいパートナーになることができると確信しています。
このように、もう1台同じピアノを買い増しされるという例は珍しく、今後、新旧のボストンピアノがお客様のもとでどのような表情を見せていってくれるのか、とても楽しみです。