福岡女学院は、福岡県でも数少ない、高校に音楽科がある長い歴史を誇る学校です。
1888年、ジェニー・ギール氏によって開設された福岡女学院に、音楽科が誕生したのは1963年。時、まさに高度成長期、急激に日本が豊かになっていき、西洋文化への憧憬と関心が高まっていた時代でした。学校の教科書で習ったクラシック音楽は何となく遠い存在でありましたが、全国に音楽教室が普及し、ピアノを学ぶ機会が増えてくると、音楽が身近に感じられるようになってきました。東京から見ると、当時の福岡はまだまだ東京の西の果ての地方都市。その町に、クラシック音楽の未来に大きな可能性を感じて音楽科を開設された判断には、先見の明があったように思います。その後の福岡女学院音楽科の活躍はめざましく、多くの演奏家や指導者を輩出し、クラシック音楽の向上、発展に大きな貢献をされてきました。福岡女学院音楽科無くしては、福岡のクラシック音楽界は成り立たなかったと言っても過言ではありません。
敷地内に、開設者のジェニー・ギール氏の名前を冠したギール講堂があり、その中に、音楽科開設以来、多くの音楽科の生徒が弾いてきたスタインウェイコンサートグランドピアノD-274 があります。50年以上経過したピアノは、オーバーホールをしないとそろそろ限界、本来の性能を発揮することが難しい状態のようでした。また、最近コンクール等のイベントに講堂を貸出しされる機会が増えており、学校側や卒業生の皆さんもスタインウェイピアノのコンディションを心配されているご様子でした。
しかし、長い歴史を持つ名門校の卒業生の母校愛は強いものです。ご年配の卒業生がその窮状に救いの手を差し伸べ、新しいスタインウェイコンサートグランドピアノD-274が寄贈されることになりました。
手続きも無事に完了し、寄贈者をお招きして、4月15日にギール講堂でピアノ開きが行われました。講堂には全校生徒が参列し、学校側を代表して理事長が、寄贈者に謝意を述べられました。
セレモニーが終わりますと演奏がスタート。まず、在校生による新旧のスタインウェイを使っての連弾、その後、卒業生や先生方が歌とヴァイオリン演奏により、新しいスタインウェイピアノへのお祝いの気持ちが込められました。そして、最後には寄贈者と卒業生の皆さんで新しいスタインウェイピアノを囲んでの記念撮影が行われました。
新しいスタインウェイピアノが福岡女学院音楽科の発展に貢献できることを願っています。
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