横山幸雄ピアノ・リサイタルのプログラム

横山幸雄ピアノ・リサイタルのプログラム

プログラムは全てベートーヴェンの有名なピアノソナタ。「悲愴」「月光」「テンペスト」「ワルトシュタイン」、最後に「熱情」。クラシック音楽ファンでなくても、誰もがどこかで耳にした曲ばかりです。贅沢にもこの5曲を一度に聴けるのです。ピアニストは日本を代表するピアニスト、横山幸雄氏。この機会を逃してはならないと、会場はほぼ満席でした。昨年は、非常に有名な四大ピアノ協奏曲を弾いて、同じ会場を満席にされています。なかなかクラシックのチケットが売れない中、なぜ多くのお客様がいらっしゃるのでしょう?

たまたま隣のお客様とお話が出来ましたので、お越しになった理由を尋ねてみますと、横山氏のファンでもありますが、一番の理由はプログラムだそうです。

一般的なプログラムは有名な曲と、馴染みが少ない、若しくは難しい曲を交えて構成されていて、お客様側に偏り過ぎず、また奏者の思いが強すぎないようにバランスをとっているように思います。熱心なクラシックファンなら、すべての演奏を楽しめますが、一般の音楽ファンの中には、難しい曲になると少し我慢の時間になる事があるかもしれません。全てのプログラムがあまりに難しい場合は、知っているアンコール曲が演奏されるとホッとして一番印象に残る時もあります。

 
横山幸雄ピアノ・リサイタルの曲目

横山幸雄ピアノ・リサイタルの曲目

昨年と今年の横山氏のプログラムは、誰もが知っている非常に有名な曲で構成されており、思い切ってお客様側の好みに寄った内容になっています。これに一般の音楽ファンが興味を示し、アクロス福岡シンフォニーホールが満席になったように感じます。過去に、このようなプログラム構成は見たことがありませんし、一度に大曲を4曲、5曲と演奏しようとするピアニストも少ないと思います。

演奏会のプログラムに知っている曲がありますと、一挙に楽しみと期待が膨らみます。

全曲親しみのある有名な曲でプログラムを構成することは、いろいろとご意見があるところだと思いますが、クラシックファンを増やし、多くのお客様が気楽に会場へ足を運んで頂く一つの方法であると思います。